その 2. ノイタミナ枠の 放浪息子.
男の子になりたかった女の子と, 女の子になりたかった男の子が中学生になり,
友人たちとの少し複雑な人間関係の中で日常を過ごし, 成長していく話
中学校への進学から, 文化祭で倒錯劇をやるまでの前半では, 明示的には語られないが
色々あった小学校時代の人間関係をベースに, そこに新たな友人たちが加わって物語が
進行する. 主人公・二鳥の行動や考えは, 見ているこちら側にも緊張を強いてくるような
緊迫感を感じた. 文化祭の倒錯劇では, 千葉さんのロミオに対し, 二鳥ではなくマコちゃんが
ジュリエット :-) これでマコちゃんと千葉さんの仲がどうかなるかと期待したけど, どうにも
ならなかったのは千葉さんが他人や自分の過去に対して律儀だったからか? 文化祭の回の最後, 劇を見たマコちゃんの
母親が, ロミオのセリフを息子に語りかけたシーンがあった. マコちゃんは, 母親が自分を
からかっていると思ったが, 多分そうではなくて, 息子に対する母親の愛情が, 千葉さんではなく
自分があのセリフを息子に語りかけたいという想いになり, それが行動になって
現れたのだと思う. 女性向けのマンガをベースに, 丁寧にアニメ化したからこその
シーンだと思う
後半では, 二鳥は意外にも年上の安那ちゃんに告白して付き合うようになり,
またクラス替えで小学校時代に嫌な思い出のある土井と同じクラスになり,
衣替えのときには高槻さんが男の格好をして登校する. 男の格好をする
更科さんや高槻さん, また土井の言動を受けて, とうとう二鳥はセーラー服を着て
学校へ来てしまう. それまでの流れからは, いつかはこうなるだろうと思わせつつ,
実際にそうなるとそれが異常であるというギャップが, うまく表現されていたと思う.
その結果, 二鳥は学校へ来ても保健室で過ごすようになり, 安那ちゃんから別れられて
しまうが, 2 年生の文化祭をきっかけに, 元の関係に戻れそうになる. 小さいことの
積み重ねがいいエンディングに結実して, 良い作品になったと思う
最後, 「女の子の服は似合わない (高槻さん). 男の子の服はつまらない (二鳥)」という
セリフがある. 高槻さんが男の格好をし, あるいは二鳥が女の子の格好をする理由が
これであると字面通りに受けとって, さらに文化祭で二鳥が自分の声変わりを肯定的に
捉えたことと併せて考えると, 二鳥は女の子になりたいというわけではなく,
自分の考えに男の子らしい強い自信を持っているだけで,
それがたまたま女の子の格好として外に出ただけというふうに感じる. そのあたりが
文化祭で安那ちゃんに伝わって, 安那ちゃんはそれを理解したから, 安那ちゃんは最後に劇を見に来れたのだろう
放浪息子 では音楽も良かった. オープニングは,
最初は CM でピンクの口紅を付けた男が歌っているのを見て少しゲンナリしたけど, 原作を
読んでから制作した歌だけあって, アニメ本編にマッチしていた. また劇中では
心情を表現する曲が良く, 特に「ラ・ラ・ラ」とラの音ばっかりの曲が, 沈んだ心, 少し
上向きの心などをうまく表していた. この曲は, 少しアレンジの違う数パターンがあるような
気がするが, 定かではないので, CD が出たら確認しようと思う
蛇足. フラクタル も
放浪息子 もそうだったのだが,
話が最後に近付くと, オープニングの歌を飛ばして本編に入り, 途中や最後に
歌が来るというパターンが多い. こうすると物語が急展開しているような印象に
なるけど, パターン化してくるとちょっとつまらなくなるのは私だけか?