学士, 綿貫征四郎が, かつての友人の両親の家の守をすることになるが, その家に住み始めてから, いろいろと奇妙なことが起こりだす. 植物との心の交流, 狸に化かされる話など, 怪しい出来事が続くが, 怪しさは日常生活と対立せず, 怪しさが同居した日常を征四郎は淡々と暮らしていく. 面白い話だった
新しい家に住んで怪異に遭遇する話といえば, 泉鏡花の「草迷宮」や, それが底とする稲生武太夫の話がある. 草迷宮や稲生の話では怪異と人間が対立しており, この点が「家守綺譚」と異なる点である. しかし草迷宮や稲生の話では, 対立しているとはいえ怪異にあまり悪気がなく, そういう点では「家守綺譚」も同類の話である
「家守綺譚」の舞台が琵琶湖の近くと思われ, 同じ関西に住む私として少し親近感が増した感があった
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