2010年8月13日金曜日

「数えずの井戸」 (京極夏彦, 中央公論新社) 読了

役無しの直参旗本, 青山播磨が, 次期若年寄の噂のある大久保家の姫君, 吉羅と結婚することになる. ただし, 青山家の家宝の皿を, 大久保家に献上するのが条件. 日常に満たされない播磨の周りで, 側用人の十太夫たちが皿を探すも, 見つからない. そんな中, 青山家の家風を知るためと吉羅が青山家に寝泊りするようになり, また十太夫が面倒を見ていた長屋の娘, 菊が, 奉公人として青山家にやってくる. そして吉羅とその使用人, 青山家の使用人, 菊の間でトラブルがおこる

播磨にしろ吉羅にしろ, また十太夫にしろ菊にしろ, 自分の立場や自分はこうすべきという思いに基づいて行動したのだが, 結果として悲劇になってしまったのは, 悲しいことである. 悪人がいないわけではないが, 悪人が直接的に悲劇のトリガを引いたのではなく, 個人個人の良かれと思って行動したのだが, 全体としては悪い方向に向かってしまったのは, やはり運命なのだろうか? 多少, 考えに無理があったり, 御都合主義的な展開が無いこともないが, 面白い話でした

0 件のコメント: