2010年12月30日木曜日

「鋼鉄の叫び」 (鈴木光司, 角川書店) 読了

「自らの意思で帰還した特攻隊員」に焦点を当てた TV 番組を企画しようとするディレクタが, 様々なアプローチでまだ生きている特攻隊員を探し出そうとする. 一方, その TV ディレクタは, 偶然に知り合った人妻との結婚を考え, その人妻もディレクタとの結婚を希望するが, 彼女は娘との 別れが辛く, その一歩が踏み出せない

日経新聞に竹内薫も書いていたが, 一般的に鈴木光司は「リング」「らせん」「ループ」で 有名なホラー作家と認識されている. しかし「鋼鉄の叫び」では長い時間軸での人間関係に 焦点が当てられていて, ファンタジーノベル大賞を受賞した「楽園」を彷彿とさせる. また, 「人間関係」という視点を念頭に置くと, 「リング」からなる一連の作品や「エッジ」なども, 「人間関係」を強く意識した作品だと認識できる. 人は生きていくうえで何を信じるべきか, という問いに対する作者の解が提示されているような気がした

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