2009年5月17日日曜日

「砂時計の七不思議」 (田口善弘, 中公新書) 読了

粉粒体の不思議な挙動を, 砂時計や砂丘などの身近な例や, 流体や気体とのアナロジで興味深く説明した本. 最終章では物理学そのものに対する著者の考えも書かれており, 粉粒体をネタにした物理学一般の啓蒙書にもなっている. とっつきにくい分野が分かりやすく説明されており, 面白かった

言われてあぁそうかと思ったのは, 砂時計には何故砂が使われていて, 水ではないのかというところ. 砂時計の場合, 時間が半分経過したときには上下の砂の量がほぼ等しくなるが, これは砂の落下速度が残っている砂の量に依存しないからである. しかし水のような液体の場合, 水の落下速度は上に残っている水の量に依存するため, 時間が半分経過しても上下の水の量は等しくならない. これが砂時計に砂を使うメリットであり, また砂の挙動の不思議なところである

粉粒体は不思議な性質を持つが, 一方で身近なものなので, たくさんの経験的知識があるのだと思う. そういったものを, 少しずつ勉強していきたい. そんなときに, 本書によって粉粒体の不思議さを概観できた気がする. 身近に置いておきたいと思うが, いかんせん古い本なので, 古本屋で気長に探してみます

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