2008年7月19日土曜日

「漢字百話」 (白川静, 中公新書) 読了

身近な漢字からその成り立ちを説明し, 漢字の形の変遷の大きな流れを背景にし, 日本での漢字の取り扱いに苦言を呈している. 漢字を見る際の新しい視点を手に入れた感じがする

本書に寄れば「口」の形には 3 つの由来があり, それは (1) 神に祈るときに用いる器の形, (2) 人間の口, (3) 場所を囲い領域を規定するもの (「くにがまえ」か?) である. 我々の先入観として (2) のケースが多いと思いがちだが, (1) が圧倒的に多いらしい. 古代において神に関することから象徴的な記号が生まれ, それが文字になるという流れは, 古代での信仰・神の重要性を考えると納得できる. また象形文字の場合, 意味を見失わないレベルで簡略化されて漢字ができるのだが, 形状の変遷を見ると「意味を見失わないレベル」の拘りが見て取れて, 面白い. また一方で, 漢字の形ができあがってしまうと, 今度は「象形」の歴史が切り離されて, できあがった漢字の形をベースに形状が変わっていってしまう (日本での旧字→新字体, 中国の現代の字体もそうか?) のも興味深い. 漢字には, 点 1 つにも大きな意味があり, 形がたまたま似てるけど生い立ちは全く違う漢字というのもあるのだ

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